準備し続ける者になろう – Google、サードパーティCookieに関してまたも方針転換

元ネタ:https://blog.google/intl/ja-jp/company-news/technology/privacy-sandbox-next-steps/

2025年4月23日、Googleは5年以上にわたる長期間検討されてきたChromeブラウザでのサードパーティCookie廃止計画について、新たな方針転換を発表した。この決定は、デジタル広告のエコシステム(いわゆるアドテク)に大きな影響を与えることになるだろう。いくつかの視点で掘り下げてみる。

 

 

おさらい(何があった?)

  1. GoogleはChromeでの第三者クッキー選択プロンプトの導入を中止し、現行の設定画面ベースの運用を継続すると発表。
  2. 業界・規制当局からの意見が割れたことや規制リスクを背景に、統一的な変更の断行を回避。
  3. 結果として、業界は再び“準備モード”に突入し、Privacy Sandboxの今後も再定義が迫られている。

 

今後何が起きる?

デマンドサイド:広告主、広告会社(いわゆる代理店)

  • 影響: 既存のターゲティング手法が継続可能になったが、プライバシー規制の強化や消費者のプライバシー意識の高まりにより、広告効果の持続性には不確実性が残ります。​また、とりわけ日本においては約半分がSafariユーザーだと考えて良くて、ここではすでにサードパーティCookieは意味を成さない。このことは肝に銘じておくべきで、安心してはいけない。

  • 今後の見通し: ファーストパーティデータの活用やコンテクスト広告へのシフトはまた鈍化すると考えられる(上記の通り、安堵してはいけないのだが)。

サプライサイド:媒体社(パブリッシャー)

  • 影響: さらにファーストパーティデータ活用へのフォーカスは少なくなっていく。ファーストパーティデータ活用機運が高まったところで前回2024年7月22日にあったサードパーティCookie廃止の撤回があったことで、一旦鈍化。更に今回の発表で「あ、やっぱり大丈夫なんだ」と感じてしまう。

  • 今後の見通し: 依然として苦しい状況の続きパブリッシャー業界ではあるが、今回の措置は一時的な延命にしか過ぎないと考えておいたほうが良い、広告によるマネタイズ以外の柱を立てたり、ファーストパーティデータの収集や活用は継続していくべき。

アドテク企業(とりわけ、共通ID提供の事業社)

  • 影響: Googleの方針変更により、既存の技術基盤を維持できますが、プライバシー規制の強化や消費者のプライバシー意識の高まりにより、技術革新と適応が求められます。

  • 今後の見通し: プライバシー保護を重視した新技術の開発や、地域ごとの規制対応が必要となります。

 

私達はどうすれば?

準備し続ける者になろう

デジタル広告業界へ従事する方であれば、このような振り回され方には十分慣れているでしょう。しかしながら、いずれはCookieはなくなっていくものと考えていた方が良い、したがって準備はしておくに越したことはない。と言っても、「まあなんとかなるでしょ」という気持ちになるのもわからなくはないので、準備し続けた者と、そうでなかった者の例をいくつかご紹介する。

準備し続けた者

トヨタ – ハイブリッド/EV戦略

  • 背景:1992年、トヨタはEV開発部を設置しEVの開発に本格着手、しかし当時、ハイブリッド車は「高コスト・低性能」と見なされ、他メーカーは本格参入を躊躇。

  • トヨタの準備:プリウスを皮切りに、電動化技術の改良を20年以上継続。

  • 結果:グローバルでの排ガス規制強化を受け、EV/ハイブリッド需要が急拡大した際、先行者利益を独占

 

 

Amazon – サプライチェーン投資

  • 背景:eコマース黎明期、物流は外部委託が主流であった。

  • Amazonの準備:2000年代前半から自社倉庫・配送網・AWSインフラへの継続投資を10年以上継続。

  • 結果:パンデミックやブラックフライデーなど需要急増時でも供給能力を維持、競合を圧倒

 

 

Netflix – ストリーミング移行

  • 背景:DVDレンタルが主流の2000年代、ストリーミングはネット回線的に時期尚早と見なされていた。

  • Netflixの準備:2007年にいち早くストリーミング事業を立ち上げ、オリジナルコンテンツも徐々に増加。

  • 結果:HuluやDisney+が参入する頃には圧倒的シェアとブランド力を獲得済み

 

準備し続けられなかった者

Kodak(コダック) – デジカメ

  • 背景:1975年、世界で初めてデジタルカメラ技術を自社で発明したにもかかわらず、既存のフィルム事業への影響を懸念し、市場投入を見送る。

  • 結果:2000年代にスマホ・デジカメが普及し、フィルム市場が崩壊。2012年に破産申請。

 

 

地上波テレビ局(日本全体) – ネット化

  • 背景:2000年代初頭からネット動画の台頭(YouTube: 2005年、Netflix配信: 2007年)を把握していたにもかかわらず、
    「放送権益」や視聴率中心のビジネスモデルに固執し、配信事業・ネット広告・若年層戦略の準備が大幅に遅れた。

  • 結果:広告主・視聴者ともにネットへ移行し、広告収入は減少。特に20代以下のテレビ離れが深刻化
    YouTuber・Netflix・TVer・ABEMAなどに主導権を奪われ、情報発信力・影響力・ブランド価値が相対的に低下。
    地上波→ネット配信への本格転換には、今なお構造的な遅れが残る。

 

 

日本の家電メーカー(Sharp・東芝など) – スマート化

  • 背景:2000年代初頭、IT化・スマート化・グローバル化の波が押し寄せる中、国内メーカーは「高品質・高機能・ハード至上主義」に固執。
    一方、Apple・Samsung・中国勢は「UX」「エコシステム」「価格競争力」で世界市場を先取り。
    日本勢はOS開発やIoT・AI連携、サブスク型ビジネスモデルへの備えが極めて不十分だった。

  • 結果:テレビ・スマホ・白物家電の世界シェアは激減。液晶技術は中国や韓国に抜かれ、スマホは壊滅。
    シャープは台湾に、東芝は分社・切り売り、ソニーとパナソニックも事業選別を余儀なくされた。
    一方で、Dyson、Apple、Samsungなどは「体験価値」を軸に家電そのものを再定義し、覇権を握った。

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