2026年4月24日、米国の大手デジタルマーケティングエージェンシー Seer Interactive が、AI Overview(以下AIO)がGoogle検索のクリック率(CTR)に与える影響を調査した第3弾レポートを公開しました。53ブランド・547万クエリ・24億3,000万インプレッションという大規模データが示した結論は、「2025年のCTR下落は2026年には反転した」というものです。
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Seer Interactiveは2001年に米フィラデルフィアで設立された独立系デジタルマーケティング会社です。SEO・SEM(検索広告)・データアナリティクスを専門とし、200名超のスタッフがデータサイエンスと広告運用を組み合わせたサービスを提供しています。
日本で言えば、アイレップ(博報堂DYグループのSEO/SEM専門代理店)に近い存在です。ただし Seer の特徴は、独自の R&D チームが業界レポートを継続的に発表しており、今回のCTR調査はその代表例です。日本の電通デジタルやサイバーエージェントが自社データを公開レポートとしてまとめているイメージと重なります。
今回の調査は、2025年1月から2026年2月の14ヶ月分を対象としたもので、規模は以下の通りです:
クエリは「情報収集型(Informational)」「商業比較型(Commercial)」「トランザクション型(Transactional)」の3種に分類されています。AIOの出現状況は3区分で管理されています:
2025年通年を通じてCTRは下落し続け、2025年12月にはAIOが表示されたクエリのオーガニックCTRが1.3%まで底をつきました。調査チームは2026年も下落が続くと予測しましたが、現実は逆でした。
2026年1月〜2月でCTRは2.4%まで回復し、12月比で85%増となりました。完全な回復ではないものの(2025年1月時点の3.2%には届かず)、「底打ち」した可能性を示しています。
| 指標 | 2025年1月 | 2025年12月(底) | 2026年2月(最新) |
| AIO表示・オーガニックCTR | 3.19% | 1.31% | 2.36% |
| AIO非表示・オーガニックCTR | 2.75% | 3.16% | 3.82% |
| AIO表示・有料CTR | 14.64% | 15.14% | 16.21% |
| AIO非表示・有料CTR | 25.98% | 20.96% | 21.85% |
情報収集型・トランザクション型の全セグメントで、実測値がモデル予測を上回りました。ただし、1〜2月だけのデータで「回復基調」と断定するのは早計です。
2025年10月〜11月、ブランド引用ありのCTRが急落しましたが、クリック数は横ばいでした。インプレッションが同期間で15,797,234→39,500,144と倍増した結果、CTRの計算式(クリック÷インプレッション)が下がっただけです。この区別は戦略判断に直結します。
AIが「まとめてしまわない」クエリは、ユーザーが実際にクリックする傾向が強まっています。情報収集型のAIO非表示CTRは2025年通年で2.93%→3.97%に上昇し、2026年2月時点では4.91%に達しています。
トランザクション型(購入・予約など)でAIO引用ありのCTRは、2025年1月の0.7%から12月には1.65%と倍増しました。
情報収集型・引用ありの有料CTRは2025年通年で13.99%〜17.95%の範囲内にとどまり、モデルの誤差は0.09ポイント以内でした。オーガニックとは対照的に、有料は「予測可能なチャンネル」です。
49,353クエリの分析から、クエリ形式ごとのAIO出現率が明らかになりました:
| クエリ種類 | AIO出現率 |
| 比較(X vs Y) | 95.4% |
| レビュー系 | 86.3% |
| 質問系(what/how/why) | 85.9% |
| 価格・購入系 | 83.4% |
| ベスト系 | 81.3% |
| 「near me」系 | 76.9% |
| 単語1語 | 27.3% |
情報収集型クエリで100万インプレッションあたりのクリック数を換算すると:
引用を獲得することはSERP内での相対的優位ですが、AIOが出ない検索結果には及びません。
| 検索インテント | AIO出現率 |
| 情報収集型 | 36% |
| 商業比較型 | 8% |
| トランザクション型 | 5% |
情報収集型の約3分の1でAIOが出現しており、トランザクション型とは7倍の差があります。もし自社の検索流入が情報収集型コンテンツ中心なら、すでにAIO影響下にあると考えるべきでしょう。
Seer Interactiveの2026年最新調査は、「AIOverviewによるCTR下落は2026年初頭に底打ちした可能性がある」という、これまでの予測を覆す結果を示しました。ただし、回復は一様ではなく、クエリインテント・AIO引用有無・チャンネル(有料/オーガニック)によって状況は大きく異なります。
重要なのは業界平均ではなく自社データです。AIO引用状況とインテント分布を把握した上で、引用獲得とAIO非表示クエリの掘り起こしを並行して進めることが2026年のSEO戦略の要となるでしょう。