先日の記事でも記載した通り、Googleによる検索機能の進化は目覚ましく、特にAIを活用した表示形式の変化が注目を集めている。本記事では、ウェブサイト運営者がこの流れにどう対応すべきかを考えてみる。Googleの評価方針や品質ガイドラインをもとに、どのようなコンテンツが信頼され、選ばれるのかを具体的に整理し、今後の運営方針や記事づくりに役立つ実践的な視点で書いてみる。
ウェブサイト運営者がこの先生き残るには・・・
重要な点としては、2025年5月23日にアップデートされたGoogle Search Centralの、AI features and your websiteというドキュメントに記載のある以下の言及である。
The best practices for SEO remain relevant for AI features in Google Search (such as AI Overviews and AI Mode). There are no additional requirements to appear in AI Overviews or AI Mode, nor other special optimizations necessary. That said, it’s always good to review the fundamental SEO best practices.
和訳すると、「AI OverviewsやAI Modeに表示されるために特別な要件や最適化は必要ないが、基本的なSEOの見直しは常に有益」ということである。
Google自身の果たすべき役割をこちらに記載のある「organize the world’s information and make it universally accessible and useful(世界中の情報を整理し、誰でもアクセスでき、使えるようにする)」としている。物凄くシンプルに言うと、これに沿ってさえすれば良い。
以下、Search Quality Evaluator Guidelinesに記載があるがこれをまずは簡潔にまとめてみる。※2025年5月24日時点では2025年1月23日の更新、となっている。
つまり、このガイドラインに沿っていれば上述のメンバーに評価される→Googleが有用と判断する→検索上位やAI Overview, AI Modeに引用されやすくなる(かもしれない)ということである。
ページが本来の目的をどれだけ満たしているかを評価する。評価の起点はページの「目的」を明確に理解することである。特にYMYLに該当する場合は、より高い品質・正確性・信頼性が求められる。
評価観点は以下の通り。
PQ評価は、以下の通りLowest、Low、Medium、High、Highestのスライド形式で行い、必要に応じて「+」段階も使用する。
ユーザーの検索意図に対して、個々の検索結果(リンクやスニペット)がどの程度満足を与えるかを評価する。クエリの意図を深く理解したうえで、検索結果の情報の質、正確性、適切性を判断する。
評価スケールは以下の通り。
Needs Met評価では、クエリのタイプ(情報探索、行動、訪問、ナビゲーションなど)やローカル性、ユーザーの状況(モバイル使用、視覚的情報へのニーズなど)を含めて総合的に判断する。
PQとNMは独立して評価されるが、相互補完の関係にある。たとえば、検索意図には合致しているが、コンテンツが不正確または信頼性が低ければPQは下がり、総合的な品質は劣る。一方で、非常に高品質なコンテンツであっても検索意図と無関係であればNM評価は低くなる。
つまり、ユーザーの意図に合っていて(NMが高く)、かつ正確で信頼できる情報(PQが高い)という両方を満たした場合に成立する、ということ。どちらかが欠けても、検索結果としては不十分と判断される。
この両軸のバランスを取ることが、検索体験全体の質の向上に繋がる。
先述の通り、基本的には「AI OverviewsやAI Modeに表示されるために特別な要件や最適化は必要ないが、基本的なSEOの見直しは常に有益」の方針でいればよいが、AI features and your websiteに則り、あえて方向性を示すとすれば・・・
AI Overviews、AI Mode は「クエリのファンアウト」で幅広い下位トピックを調査し、多様なリンクを提示する。ニッチ・専門ページでも深掘り記事を用意すれば露出機会が増える。
Merchant Center 商品データ、Google ビジネスプロフィール、レビューなどを更新し、AI の比較・推薦に備える。
コンテンツの一部を非表示にしたい場合は nosnippet や data-nosnippet を用いる。全体を除外したい場合のみ noindex。設定が厳しすぎると AI 枠にも出なくなる点に留意する。
AI Overviews、AI Mode 経由のサイト訪問も Search Console の「Web」検索タイプに集計される。クリック後の滞在時間や CV 率が高い傾向があるため、GA 等でコンバージョン指標まで追跡し、テーマや表現を改善する。
AIがSERP上でユーザーの疑問を直接解決し、タスクを完了させる能力を高めるにつれて、「ゼロクリック検索」の割合は一層増加すると予測される。これにより、多くのウェブサイトにとって主要な集客経路であったオーガニックトラフィックが大幅に減少する可能性があるのは自明である。今日の検索の約60%はウェブサイトへのクリックなしに終了し、2025年2月に発表されたBain & Companyの調査では、検索ユーザーの80%が少なくとも検索の40%で即時のAI生成回答に依存しており、オーガニックウェブトラフィックを、推定15~25%減らしている。
しかし、この変化は一面的な脅威だけを意味するわけではない。AI ModeのDeep Search機能などが進化することで、これまで検索結果の2ページ目以降に埋もれがちだった、非常に専門性が高い、あるいはニッチな情報を含む質の高いコンテンツが、AIによって発掘され、引用・参照される機会が生まれる可能性もある。
この状況は、コンテンツ価値の二極化を示唆している。
したがって、SEO戦略は多様化する必要がある。すべてのコンテンツが同じ成果を目指すべきではない。一部のコンテンツはAIに情報を提供し(AEO重視)、他のコンテンツはAIの要約を超えてユーザーを引き込み、より深いエンゲージメントや独自の価値提案を目指すことになる。成功の測定には、単純なオーガニッククリック数以外の新しい指標が必要となるだろう。
AIによる検索体験が主流になるにつれ、情報が「誰から発信されたか」がこれまで以上に重要になる(Brand Power)。特にAI Modeでは、ユーザーがクリックする前にAIがコンテンツを要約し、引用する。その際に参照されやすいのは、信頼できると認識された“ブランド”である。
従来のSEOではE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を強化することでGoogleからの評価を高めてきた。今後はそれに加えて、「ブランドシグナル」そのものがAIからの評価軸になる。ユーザーが認識するより先に、AIがその信頼性を判断する時代に入ってくるかもしれない。
AIが評価するブランドは、次のような特徴を持つ。
AIは、リンクや構造化データだけでなく、あらゆるチャネルにわたる情報の整合性と空気感を読み取る。これは「推論された信頼(Inferred Trust)」とも言える。E-E-A-Tはもはやマークアップや形式の問題ではなく、ブランドとしての総合的な信用力が問われるフェーズに入るのではないだろうか。
AI時代におけるE-E-A-T強化の本質は、表層的なSEO対策ではなく、真の専門性と信頼を示し続けるブランドであること。その価値が、検索結果における引用、さらにはユーザーとの新たな接点を生む。