Amazon 2026年Q3決算|広告が12%増に減速、AWSは39%増

2026年10月29日、Amazon が2026年7〜9月期(Q3)の決算を発表しました。売上は2,019億ドル(前年同期比12%増)、営業利益は281億ドルで、営業利益率13.9%は同社の過去最高です。

広告主にとっての焦点は広告売上でした。広告売上は196億ドルで、為替の影響を除くと前年同期比12%増です。20%台が続いていた伸びが半分近くに落ち、市場予想にも届いていません。ただし減速の大半は Prime Day の開催時期が動いたことによるもので、Amazon は Q4 に「10%台後半」へ戻ると見ています。

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Amazon 2026年Q3決算の全体像

まず市場予想との比較です。CNBC が報じた LSEG と StreetAccount の予想を並べると、AWS だけが予想を上回り、売上・EPS(1株利益)・広告は届きませんでした。

実績と市場予想の比較(指標ごとに、0 を起点にした棒の長さで比べる)
売上 予想に届かず
実績
2,019.4億ドル
市場予想
(LSEG)
2,023.1億ドル
EPS(1株利益) 予想に届かず
実績
1.89ドル
市場予想
(LSEG)
1.96ドル
AWS売上 予想を上回る
実績
459.8億ドル
市場予想
(StreetAccount)
452.9億ドル
広告売上 予想に届かず
実績
196.4億ドル
市場予想
(StreetAccount)
208.2億ドル
出典: 実績は Amazon 決算リリース(SEC EX-99.1)。市場予想は CNBC 報道経由で、売上・EPS は LSEG、AWS売上・広告売上は StreetAccount。

株価は時間外取引で下落しました。下げ幅は CNBC が「6%超」、TheDesk が「7%超」と報じています。

純利益は207億ドルで、前年同期の212億ドルから2%減りました。本業が落ちたわけではありません。前年のQ3には Anthropic への投資による税引前95億ドルの評価益が含まれていて、今期はそれがない、という差です。

なぜ広告の伸びは12%に落ちたのか?

一番大きな理由は Prime Day です。2025年は Q3 に開いた Prime Day を、2026年は米国を含む主要国で Q2 に前倒ししました。CNBC によれば、7月の FIFA ワールドカップと重ならないようにするためです。

広告売上の前年比の伸び(為替の影響を除く)を6四半期並べると、減速の形がはっきりします。

広告売上の伸び(前年同期比・為替除く)
22%
2025年
Q2
22%
2025年
Q3
22%
2025年
Q4
22%
2026年
Q1
26%
2026年
Q2
12%
2026年
Q3
出典: Amazon 決算リリース(SEC EX-99.1)。前年同期比、為替の影響を除く。

Q2 で26%に跳ねたのは Prime Day の前倒し分、Q3 で12%に落ちたのはその反動、という構図です。金額でも Q2 の198.1億ドルから Q3 は196.4億ドルへ、前四半期より少し減りました。

決算説明会で CEO の Andy Jassy 氏は、伸び率を左右した要因を3つ挙げています。

  1. Prime Day の Q2 移動。前四半期比で850ベーシスポイント(8.5ポイント)の押し下げ
  2. NBA の放映時期。2026年Q2 には Prime Video で NBA の初シーズンの試合があったが、Q3 には試合がない(Q4 から再開)
  3. 検索連動型広告の変更が一巡。2025年Q3 に、外部の検索広告から Amazon の検索結果ページへ人を送る形に変え、そこで広告収入を得るようにした。その押し上げを Q3 から前年と比べる形になった

Q2 の26%から Q3 の12%まで、14ポイント落ちました。筆者の読みでは、そのうち8.5ポイント分を Prime Day の移動で説明したことになります。残りの5ポイント強が NBA と検索広告の一巡、ほかの要因です。Amazon は Q4 の広告売上の伸びを「10%台後半」と見込んでいます。

Amazon Ads Agent と「外部エージェントの影響はない」発言

今回の説明会で広告業界が注目したいのは、Jassy 氏が自分から投げかけた問いです。他社の汎用 AI エージェント経由の買い物が Amazon の広告を奪っていないか、という疑問に、同氏は「いいえ」と答えました。理由は、そうした買い物をする人がまだ少なく、使い勝手も Amazon で直接探して1クリックで注文するほど便利ではない、というものです。

The natural question is whether agentic shopping from external horizontal agents is meaningfully impacting Amazon Ads, and the answer is no.
— Andy Jassy(Amazon CEO、2026年Q3決算説明会)

その一方で、Amazon は自社のエージェントを伸ばしています。買い物アシスタントの Alexa for Shopping は直近12か月で4億人超が使い、やり取りの数は前年の6.7倍(570%増)。Alexa for Shopping を使う米国の顧客は、使わない顧客より1回の注文額が50%多いそうです。

広告側では Q3 に Amazon Ads Agent を出しました。検索連動の広告、ディスプレイ、動画、ストリーミング TV の広告を1つにまとめた、AI を前提にしたプラットフォームです。米国の全広告主に向けた Full-Funnel Campaigns では、広告主が予算と期間を入れると、残りの計画・配信・調整を Amazon の AI が受け持ちます。Ads Agent が広告の買い方をどう変えるかは「Amazon Ads AgentはDSPの終わりか?UBP論で読む2026年の広告買付と媒体社の備え」で整理しました。

筆者は、外部エージェントの影響がないという判断は「今のところ」の話だと見ています。Jassy 氏が同じ説明会で「Amazon で買い物をする顧客が主に使うエージェントは Alexa for Shopping になる」との見込みを示したこと自体、検索の入口が外のエージェントに移る事態を警戒している証拠です。広告主が見るべきは、Alexa for Shopping の会話の中に広告枠がどう入ってくるかでしょう。

AWSは6四半期連続で加速、受注残は5,780億ドル

AWS の売上は460億ドル、前年同期比39%増です。成長率は6四半期続けて上がり、ここ5年近くで最も高い伸びになりました。

AWS売上の伸び(前年同期比・為替除く)
17%
2025年
Q2
20%
2025年
Q3
24%
2025年
Q4
28%
2026年
Q1
37%
2026年
Q2
39%
2026年
Q3
出典: Amazon 決算リリース(SEC EX-99.1)。前年同期比、為替の影響を除く。

AWS の営業利益は178億ドル(営業利益率38.7%)で、全社の営業利益281億ドルの6割強を稼いでいます。説明会での Jassy 氏の発言によると、受注残(契約済みでまだ売上になっていない額)は5,780億ドル。AWS は2027年と2028年にそれぞれ40%超の成長を見込み、5〜10年で年間売上1兆ドルの事業になりうると述べました。

AI 関連では、推論サービス Amazon Bedrock のトークン量が前年の約17倍。自社開発の AI チップ Trainium は、2027年後半から AWS の外にも売り出す計画です。

営業利益率13.9%は過去最高、ただし前年の特別費用に注意

営業利益は前年同期比61%増。この数字はそのまま受け取らないほうがいいです。2025年Q3 の営業利益には、米連邦取引委員会(FTC)との和解金25億ドルと、人員削減に伴う退職関連費用18億ドルの特別費用が入っていて、比べる相手が低く出ています。

2つの特別費用を足し戻すと、前年の営業利益は約217億ドル。今期の281億ドルと比べた伸びは約29%です(筆者試算)。それでも高い伸びで、北米の小売事業の営業利益率は4.5%から7.7%に上がりました。

小売の売上自体は勢いを欠きます。北米は6%増、海外は5%増(為替を除くと8%増)。ネット通販(Online stores)の売上は2%増の684.7億ドルで、StreetAccount の予想696.8億ドルに届きませんでした。CFO の Brian Olsavsky 氏は、Prime Day の時期がずれていなければ全社の売上の伸びはおよそ4ポイント高かったと説明しています。

セグメント別の売上の伸び(前年同期比)
北米
6%
海外(為替除く)
8%
AWS
39%
出典: Amazon 決算リリース(SEC EX-99.1)。海外のみ為替の影響を除いた値。

FCFは直近12か月でマイナス424億ドル、それでも2027年はさらに投資

フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから設備投資を引いた手元に残るお金、FCF)は、直近12か月でマイナス424億ドルでした。マイナスは2四半期連続です。

フリーキャッシュフロー(直近12か月)の推移 0 を中央に、マイナスは左・プラスは右
マイナス(左) プラス(右)
2025年Q2
182億ドル
2025年Q3
148億ドル
2025年Q4
112億ドル
2026年Q1
12億ドル
2026年Q2
-76億ドル
2026年Q3
-424億ドル
出典: Amazon 決算リリース(SEC EX-99.1)。各時点から見た直近12か月の値。

営業キャッシュフローは直近12か月で1,683億ドル(29%増)と伸びています。それ以上に、設備投資(売却収入などを差し引いた額)が2,107億ドルまで増えました。Q3 の1四半期だけで、設備投資は772.6億ドル(総額)。前年同期の350.9億ドルの2倍以上で、CNBC が伝えた FactSet の予想587億ドルも大きく上回りました。

直近12か月の営業キャッシュフローと設備投資(純額)
営業キャッシュフロー
1,683億ドル
設備投資(純額)
2,107億ドル
出典: Amazon 決算リリース(SEC EX-99.1)。設備投資は売却収入などを差し引いた額。

足りない分は借入で埋めています。キャッシュフロー計算書によると、Q3 に長期の借入で481億ドルを調達しました。

2026年通年の設備投資は約2,200億ドルの見通しを据え置き、Jassy 氏は2027年に「meaningfully more(意味のある規模で増やす)」と述べています。CNBC によると、同じ週に Microsoft は通年の設備投資見通しを1,750億ドルから1,700億ドルに下げ、Alphabet は据え置きました。投資の手を緩めない姿勢では、Amazon が一歩前に出た形です。同じ週の他社の決算は「アルファベット(Google)2026年Q3決算|Cloud倍増の裏で検索広告が減速」と「Meta 2026年Q3決算|売上646億ドルでも営業利益は37%減」にまとめています。

Q4 の見通しは売上2,400億〜2,470億ドル(12〜16%増)、営業利益285億〜335億ドルでした。売上の中央値2,435億ドルは、LSEG の予想2,445億ドルを少し下回ります。

Q2記事の注目点への答え合わせ

Q2決算の記事で残した確認事項を、Q3 の結果と照らします。

Q2記事の注目点 Q3の結果
AWS の加速は続くか 続いた。6四半期連続の加速
広告の伸びは続くか 大きく減速。主因は Prime Day の時期のずれ
設備投資はどこまで増えるか 2026年は据え置き、2027年はさらに増やす方針
FCF は回復するか マイナス幅が広がった

AWS は期待どおりでしたが、広告と FCF は Q2 時点の見方より悪い結果でした。広告については、Q4 の「10%台後半」が本当の実力を測る数字になります。

広告主・媒体社は何を見るべきか

筆者の見立てでは、今回の広告の減速を「Amazon 広告の失速」と読むのは早すぎます。Q2 と Q3 を足して半年でならすと、広告売上は前年同期比で約18%増えています(筆者試算)。そのうえで、実務で見ておきたい点は3つあります。

  1. Q4 の数字で実力を確かめる。2026年Q4 は Prime Day の時期のずれがなく、NBA の放映も再開します。ここで「10%台後半」に戻らなければ、時期のずれでは説明できない減速です
  2. Amazon Ads Agent の Full-Funnel Campaigns を試す前に、配分の基準を決める。予算と期間だけで検索・ディスプレイ・動画・ストリーミング TV に振り分けられる仕組みは便利ですが、どの面にいくら配信されたかを自社で確かめられるようにしておく必要があります
  3. Prime Video 広告の存在感が増す。Jassy 氏は Prime Video が年間で数百億ドル規模の売上になり、単体で黒字になったと述べました。Thursday Night Football は最初の6試合の平均視聴者が1,770万人(Nielsen)と過去最高の滑り出しです。Q4 からは NBA も戻り、CTV 広告の在庫はさらに厚くなります

媒体社の立場で言えば、Amazon の外部エージェントへの警戒は、自社サイトへの送客がエージェント経由に変わる流れと同じ変化から来ています。Amazon ほどの規模でも入口を自前で持とうとしている点は、覚えておいて損はありません。

まとめ

  • 広告は196億ドル、為替を除き12%増に減速。Prime Day の Q2 移動が8.5ポイント押し下げ、Q4 は「10%台後半」の見通し
  • AWS は39%増で6四半期連続の加速。受注残5,780億ドル、2027年・2028年は40%超の成長を見込む
  • 営業利益率は過去最高の13.9%。ただし前年の特別費用43億ドルを除くと、営業利益の伸びは約29%(筆者試算)
  • FCF は直近12か月でマイナス424億ドル。2026年の設備投資は約2,200億ドル、2027年はさらに増える

AI への投資が AWS の売上に変わっている事実と、その投資が手元の現金を減らしている事実は、今期も両方が強まりました。広告主にとっての次の確認日は、2027年初めに出る Q4 決算です。

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参考記事

hi-tec-c@hotmail.co.jp