Meta 2026年Q3決算|売上646億ドルでも営業利益は37%減

2026年10月21日、Meta Platforms が2026年7〜9月期(Q3)の決算を発表しました。売上高は前年同期比26%増の646億ドルと伸びた一方、営業利益は37%減の130億ドルまで落ち込んでいます。米国の州司法長官との和解費用99億ドルを計上し、フリーキャッシュフローも21億ドルの赤字に転じました。広告主と媒体社にとって手がかりになるのは、広告単価が14%上がった点です。

関連記事
・Meta 2026年Q2決算|売上28%成長の裏でFCF急減、AI投資はどこまで続くのか
・Meta 2026年Q1決算|広告収益33%成長でもAI投資が問われる局面へ
・Meta2025年Q4決算まとめ|広告事業24%成長、AI投資は1,350億ドル規模へ

Meta の2026年Q3決算では何が起きたのか?

売上は伸びましたが、利益と手元の現金は減りました。売上高は646億ドルで前年同期比26%増、営業利益は130億ドルで37%減です。減益の最大の理由は、米国の州司法長官との和解に伴う約99億ドルの費用でした。

数字はすべて、Meta が米証券取引委員会(SEC)に提出した決算リリースから取っています。

項目 2026年Q3 2025年Q3 前年同期比
売上高 646.0億ドル 512.4億ドル +26%
うち広告売上 630.6億ドル 500.8億ドル +26%
費用合計 516.1億ドル 307.1億ドル +68%
営業利益 129.9億ドル 205.4億ドル -37%
営業利益率 20% 40% -20ポイント
純利益 98.6億ドル 27.1億ドル +264%
希薄化後EPS 3.83ドル 1.05ドル +265%

出典: Meta Platforms の決算リリース(SEC 提出、2026年10月21日)

売上は26%増、営業利益は37%減(2026年Q3と2025年Q3)
売上高 2025年Q3
512.4億ドル
2026年Q3
646.0億ドル
前年同期比 +26%
営業利益 2025年Q3
205.4億ドル
2026年Q3
129.9億ドル
前年同期比 -37%
出典: Meta Platforms の決算リリース(SEC 提出、2026年10月21日)。棒の長さは2026年Q3の売上高646.0億ドルを100%とした比率

Fortune は、S&P Global の Visible Alpha がまとめた市場予想の売上高を633億ドルと伝えています。実績はそれを約13億ドル上回りました。Q4 の売上見通し730〜760億ドルも、予想の737.5億ドルを中央値で超えています。決算発表後の時間外取引で、株価は3〜5%上がりました(Fortune と Forbes の報道)。

純利益が264%増えたことには、注意が要ります。前年同期は法人税が189.5億ドル、実効税率が87%に膨らんでいました。Forbes は、米国の税制改正に伴う約160億ドルの一時的な税費用が原因だったと伝えています。264%という数字は事業の改善というより、前年の落ち込みの裏返しです。

広告収入の伸びを支えたのは単価の上昇だった

広告売上は630.6億ドルで、売上全体の約98%を占めます(筆者計算)。伸びの中身を見ると、広告の配信数が前年同期比10%増、1件あたりの広告単価が14%増でした。

一方、Meta の各アプリを1日に使う人の数(DAP)は、2026年9月の平均で36.4億人。増加率は3%にとどまります。増収の主役は人数ではなく、1人に出す広告の量と値段です。為替の影響を除いても売上は26%増で、為替が伸びを押し上げたわけでもありません。

CFO の見通しコメントは、AI への投資が広告収入を押し上げていると説明しています。エンゲージメントの向上、推薦の精度、収益化の効率化が理由です。

筆者は、単価14%増の少なくとも一部は、AI による配信の最適化で広告の成果が上がり、広告主が高い単価を受け入れた結果だと見ています。ただし決算リリースには、地域別やフォーマット別の単価の内訳がありません。成果が先に上がったのか、需要の増加で単価が先に上がったのかは、この資料からは判別できないところです。

営業利益の落ち込みは訴訟費用だけでは説明できない

2026年8月、Meta は52の司法長官と、10代のメンタルヘルスとSNSをめぐる訴訟で和解しました。支払いは最大で約185.9億ドル。AP によると、支払いは10年にわたります。Meta は若年層向けに、親の許可がなければ解除できない1日2時間の利用制限や、平日の学校時間中のプッシュ通知の停止なども受け入れました。

Q3 の費用には、この和解に伴う99億ドルが入っています。訴訟費用を除くと営業利益は228.8億ドルで、営業利益率は約35%です(筆者計算)。それでも前年同期の40%を約5ポイント下回ります。

理由は費用の伸びにあります。訴訟費用を除いた費用は約417億ドルで、前年同期比36%増でした(筆者計算)。売上の26%増を10ポイント上回る伸びです。

  • 売上原価は133.7億ドルで45%増
  • 研究開発費は200.5億ドルで32%増
  • 減価償却費は71.5億ドルで44%増
売上の伸び(+26%)を、費用の伸びが上回った(前年同期比)
売上高
+26%
646.0億ドル
費用(訴訟費用を除く)
+36%
約417億ドル(筆者計算)
売上原価
+45%
133.7億ドル
研究開発費
+32%
200.5億ドル
減価償却費
+44%
71.5億ドル
出典: Meta Platforms の決算リリース(SEC 提出、2026年10月21日)。「費用(訴訟費用を除く)」の+36%と約417億ドルは筆者計算。棒の長さは+50%を100%とした比率

従業員数は6万6,775人と、前年同期から15%減りました。人を減らしても費用が増えているのは、費用の中心が人件費からデータセンターの減価償却と計算資源へ移っているからだ、というのが筆者の読みです。

セグメント別では、広告を担う Family of Apps の営業利益が171.2億ドルで、前年同期比31%減(筆者計算)でした。VR などの Reality Labs は、売上4.4億ドルに対し営業損失が41.3億ドルで、前年同期の44.3億ドルから少し縮んでいます。

設備投資がフリーキャッシュフローを赤字にした

Q3 の設備投資(金融リースの元本返済を含む)は349.1億ドルでした。前年同期の約193.7億ドルと比べて約1.8倍です(筆者計算)。営業活動によるキャッシュフローは327.9億ドルと9%増えましたが、設備投資がそれを上回り、フリーキャッシュフローは21億ドルの赤字になりました。前年同期は106億ドルの黒字で、直前の2026年Q2も7.8億ドルの黒字でした(Q2決算の解説記事、Fortune の報道とも一致)。黒字から赤字へ、1四半期で反転しました。

設備投資が営業キャッシュフローを上回り、FCFは赤字に
設備投資 2025年Q3
約193.7億ドル
2026年Q3
349.1億ドル
約1.8倍(筆者計算)
営業CF 2026年Q3
327.9億ドル
前年同期比 +9%
フリーキャッシュフロー(FCF) 2025年Q3
+106.3億ドル
(黒字)
2026年Q3
-21.2億ドル
(赤字)
出典: Meta Platforms の決算リリース(SEC 提出、2026年10月21日)。設備投資は金融リースの元本返済を含む。1.8倍は筆者計算。棒の長さは設備投資349.1億ドルを100%とした比率で、FCFの赤字は絶対値で表示

足りない分を、Meta は借入と手元資金で埋めています。

  • 自社株買いは、Q3も2026年1〜9月累計もゼロです。2025年1〜9月は262.5億ドルでした
  • 長期債務は809.2億ドルで、2025年12月末の587.4億ドルから38%増えました
  • 2026年1〜9月の長期債の発行(純額)は249.1億ドルです
  • 現金と有価証券は824.5億ドルを保っています

AI 投資の資金源が、本業の稼ぎから外部の調達へ移り始めた。決算書の数字からは、そう読めます。株主への還元は、13.6億ドルの配当だけになりました。

2026年Q4の見通しと Class C 株の新設

Meta が示した見通しは次のとおりです。

項目 見通し 補足
2026年Q4の売上高 730〜760億ドル 為替は約1%の逆風を織り込む
2026年通期の費用合計 1,750〜1,790億ドル Q3の99億ドルを反映して引き上げ
2026年通期の設備投資 1,350〜1,450億ドル 下限を1,300億ドルから引き上げ
2026年通期の Reality Labs の損失 180〜190億ドル 2025年より縮小
2027年の Reality Labs の損失 約150億ドル 投資を AI などへ振り向ける
2026年Q4の税率 15〜17% 税制に変更がない場合

出典: Meta Platforms の決算リリース(SEC 提出、2026年10月21日)

通期の費用見通しから1〜9月累計の費用1,270.8億ドルを引くと、Q4 の費用は約479〜519億ドルです。Q4 の売上見通しと合わせると、Q4 の営業利益は約211〜281億ドル、営業利益率は約29〜37%になります(筆者計算)。訴訟費用を除いたQ3の約35%と近い水準です。会社は利益率が急には戻らないと見ている、というのが筆者の読みです。

Reality Labs にも目を向けます。通期損失180〜190億ドルから1〜9月の損失127.8億ドルを引くと、Q4 だけで52〜62億ドルの損失が出る計算にもなり、Q3 の41.3億ドルより重くなります(筆者計算)。

2027年については、売上の見通しは出していません。それでも、AI 投資の効果で2027年を通じて力強い増収を保てると、会社は述べています。設備投資も積極的に続ける方針です。

決算と同時に、Meta は新しい株式のしくみも発表しました。議決権のない Class C 普通株を新設し、発効日は2027年1月19日です。既存の Class A と Class B の株主には、1株につき Class C を1株配る一回限りの株式配当が行われる予定で、配当後の Class A 株は2対1の株式分割に近い値動きになると同社は見込んでいます。株主の議決権の比率は変わりません。

新株の目的として挙げられたのは、資金調達、従業員の報酬、買収などです。創業者のマーク・ザッカーバーグ氏との間では、Class C 株の売却条件などを定めた契約も結びました。議決権のない株を新しい通貨にすれば、創業者の支配を保ったまま、巨額の AI 投資に必要な資金と報酬用の株を出せる。筆者は、設備投資の節で見た資金繰りの変化に対する答えが、この Class C 株だと考えています。

Muse の収益化と残る法務リスク

今回の決算で、AI の成果として前面に出たのが Muse です。Meta は、AI アシスタントの Muse と、初の最先端モデル Muse Wonder を投入しました。

Fortune によると、ザッカーバーグ氏は決算説明会で、米国とカナダで1,000万人超が Muse を設定したと述べています。計算コストが重いため、全世界への展開はまだです。Meta はふだん、利用者が10億人に達してから収益化します。Muse はそれより早く収益化に着手する、とも話しました。

Forbes によれば、同氏は Muse が高い収益を生むと見込み、計算コストの効率が1年で10倍に改善すると予測しています。筆者は、この10倍がカギだと見ています。実現しなければ、利用者が増えるほど費用が膨らむ構造になるためです。

法務リスクも続きます。Fortune と Forbes は、決算発表の数時間前に、ニューメキシコ州でプライバシーをめぐる判断が出て、Meta に250億ドルの支払いが命じられたと伝えました。Fortune によれば、Meta は控訴する方針です。決算リリースの見通しは、費用を引き上げた理由として Q3 の99億ドルしか挙げていません。250億ドルを今後の費用にどう反映するのかは、この資料からは読み取れません。

広告主と媒体社が見るべき点

広告主が最初にやることは、自社の Meta 広告の単価を前年同期と比べることです。Meta 全体の単価は14%上がりました。自社の配信でも同じ幅で上がり、成果も同じだけ伸びているかを確かめます。単価だけが上がっているなら、配分の見直しを検討する時期です。

Muse は、広告の新しい接点になり得ます。ザッカーバーグ氏は、米国の利用者1人あたりの年間収益が数百ドルあり、Muse はそれを上回る可能性があると話しました。AI エージェントが小売の取引に向いていることが理由です(Fortune)。広告枠になるのか、手数料型になるのかは未定です。日本への展開時期も示されていません。

媒体社には、別の心配があります。AI アシスタントの中で商取引まで完結するようになれば、検索や外部サイトから媒体へ来る人が減りかねません。利用者がどこで情報を得て、どこで買うのか。Muse の展開地域が広がる前に、自社の流入経路を点検しておくことをすすめます。

まとめ

  • 売上は26%増の646億ドルで、増収の中心は単価14%増。利用者数は3%増にとどまった
  • 営業利益は37%減。和解費用を除いても利益率は約35%で、前年の40%には届かない
  • 設備投資349.1億ドルでフリーキャッシュフローは赤字。自社株買いは止まり、債務は増え、Class C 株が新設される

2027年の Reality Labs の損失見通しは約150億ドルです。AI に投資を集中する流れは、少なくとも2027年までは続きます。その投資が広告単価の上昇を支え続けるのか。次の四半期決算では、広告単価と設備投資の両方を見たいところです。

関連記事

参考記事

コメントを残す

上部へスクロール