アルファベット(Google)2026年Q3決算|Cloud倍増の裏で検索広告が減速

2026年10月28日、Alphabet(Google の親会社)が2026年7〜9月期(Q3)の決算を発表しました。売上高は前年同期比25%増の1,275.8億ドル、Google Cloud は103%増の307.1億ドルと伸びた一方、検索広告の伸びは12%まで鈍り、純利益は25%減っています。広告主と媒体社にとっての焦点は、AI Mode で検索の回数は増えても、広告収入がまだ同じペースで増えていない点です。

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Alphabet の2026年Q3決算では何が起きたのか?

売上は過去最高でしたが、市場の期待には届きませんでした。CNBC によると、売上も1株利益も市場予想を下回ったのは約4年ぶりです。検索広告の減速と、投資の評価損による減益、2四半期続いたフリーキャッシュフローの赤字が重なり、株価は時間外取引で大きく下げました。

数字はすべて、Alphabet が米証券取引委員会(SEC)に提出した決算リリースから取っています。

売上と営業利益は増え、純利益は株式の評価損で減った(2025年Q3と2026年Q3)
売上高 2025年Q3
1,023.5億ドル
+25%
2026年Q3
1,275.8億ドル
営業利益 2025年Q3
312.3億ドル
+30%
2026年Q3
405.8億ドル
営業利益率
目盛り0〜100%
2025年Q3
31%
ほぼ横ばい
2026年Q3
31.8%
その他の
損益
2025年Q3
+127.6億ドル
損失に転落
2026年Q3
-82.2億ドル
純利益
(普通株主
帰属)
2025年Q3
349.8億ドル
-25%
(筆者計算)
2026年Q3
261.7億ドル
希薄化後
EPS
2025年Q3
2.87ドル
-26%
(筆者計算)
2026年Q3
2.12ドル
出典: Alphabet の決算リリース(SEC 提出、2026年10月28日)。純利益とEPSの増減率は筆者計算。棒の長さは指標ごとの比率で、指標どうしの長さは比べられません

CNBC が伝えた LSEG の市場予想は、売上高1,282.2億ドル、調整後EPS 3.02ドルでした。実績の調整後EPSは2.67ドル(CNBC)で、予想を0.35ドル下回っています。株価の下げ幅は、CNBC が10%超、TheWrap が8.7%と伝えており、報道の時点で数字が分かれました。

営業利益率は前年並みでも、前の四半期(2026年Q2)の34%からは約2ポイント下がっています。CEO のサンダー・ピチャイ氏は、売上の年換算が5,000億ドル規模に達したと強調しましたが、市場はむしろ費用と現金の動きに反応した、というのが筆者の見方です。

Q2 の数字と株価の動きは「Alphabet(Google)2026年Q2決算を徹底解説|売上24%増・Google Cloud82%成長も、CapEx急増で株価下落」で整理しています。

検索の伸びが12%に鈍り、AI Mode の収益化が追いついていない

Google Search & other の売上は633.5億ドルで、前年同期比12%増でした。2026年の推移を見ると、Q1が19%増、Q2が17%増で、伸びが四半期ごとに縮んでいます。前の四半期の632.7億ドルと比べると、ほぼ横ばいです(筆者計算で0.1%増)。CNBC によれば、市場予想は649.6億ドルでした。

ピチャイ氏は決算リリースで、検索の回数(クエリ)の前年比の伸びが過去5年で最も高いと述べています。回数は増えているのに、売上は前の四半期から増えていない。この食い違いを説明したのが、Google のチーフ・ビジネス・オフィサー、フィリップ・シンドラー氏の発言です。TheWrap によると、同氏は決算説明会で次のように話しました。

It’s worth noting that the strong growth in AI mode queries had an impact because of the lower monetization we are seeing in AI mode.

AI Mode の利用が増えたこと自体が、検索全体の収益を押し下げた、という説明です。同氏は続けて、広告のテストで良い結果が出ており、AI Overviews と AI Mode の広告を米国以外の市場にも広げ、米国では会話の途中に出す広告(multi-turn ads)も始めると述べています。

TheWrap によると、AI Mode の質問は通常の検索の約3倍の長さで、世界では5件に1件が音声・画像・文書を使った検索です。長く具体的な質問ほど、広告主には購買意図を読み取りやすくなるはずです。筆者は、AI Mode の単価は今後上がると見ていますが、それには広告枠の数と入札の仕組みが整う必要があります。2026年Q4は為替の逆風がQ3より少し大きくなると CFO のアナト・アシュケナジ氏が述べており(TheWrap)、検索の伸びがすぐに戻るとは考えにくいところです。AI Mode の広告の仕組みは「Google検索のAI Modeが変える広告の未来|ピチャイCEOが語ったAI不安への答え」で解説しています。

YouTube はテレビ視聴が支え、Google Network は横ばい

YouTube の広告売上は112.1億ドルで、前年同期比9%増でした。Q2の13%増からは鈍っています。TheWrap によると、YouTube の広告売上の3分の1超がリビングのテレビでの視聴から生まれました。YouTube Music と Premium の有料会員は、無料体験を含めて1億5,000万人を超えています。

他社のサイトやアプリに広告を配信する Google Network は74.6億ドルで、前年同期比1.4%増(筆者計算)。Q1 は約4%減、Q2 は約1%減だったので、減収は止まりました。ただ、広告売上全体の820.1億ドルに占める割合は約9%にすぎません(筆者計算)。

事業別の伸び率はQ1→Q2→Q3でどう動いたか(前年同期比)
Google Search
& other
2026年Q1
+19%
2026年Q2
+17%
2026年Q3
+12%
YouTube
広告
2026年Q1
+11%
2026年Q2
+13%
2026年Q3
+9%
Google
Network
2026年Q1
約-4%
(筆者計算)
2026年Q2
約-1%
(筆者計算)
2026年Q3
+1.4%
(筆者計算)
Google
Cloud
2026年Q1
+63%
2026年Q2
+82%
2026年Q3
+103%
出典: Alphabet の各四半期の決算リリース(SEC提出)。Google Networkの2026年Q1〜Q3は3四半期とも筆者計算。Q3 の YouTube は TheWrap の9%(決算リリースの数値から筆者計算で9.2%)。棒の長さは各事業内でQ1〜Q3のうち絶対値が最大の値を100%とした比率(事業間の比較はできません)

Google が他社サイトやアプリに払うトラフィック獲得コスト(TAC)は163.7億ドルで、前年同期比10%増でした(筆者計算)。広告売上の伸び(約11%、筆者計算)とほぼ同じペースです。

Google Cloud は103%増、TPU の販売も売上に

Google Cloud の売上は307.1億ドルで、前年同期の151.6億ドルから2倍を超えました。営業利益は111.2億ドルで、利益率は約36%と前年同期の約24%から上がっています(筆者計算)。CNBC によると、市場予想は287億ドルでした。

今回から目立つのが、TPU(Google が自社で設計した AI 用の半導体)のシステム販売です。決算リリースは TPU システムの販売も売上の伸びを目に見える形で押し上げたと書き、Google Cloud の製品売上の主な中身を TPU システムの販売と説明しています。棚卸資産は2025年12月末の24.4億ドルから133.1億ドルに増え、米国の売上は前年同期比39%増でした。決算リリースはこれらを TPU と直接結びつけていませんが、筆者は、ハードウェアの販売が米国で先に立ち上がっている可能性が高いと見ています。TheWrap によれば、アシュケナジ氏は TPU の販売が2026年Q4にさらに増えると述べました。

CNBC によると、Google Cloud の CEO トーマス・クリアン氏は、AI の研究機関、資本市場、金融機関、一般企業から「並外れた需要」があると話しています。一方で Jefferies のアナリスト、ブレント・ティル氏は CNBC の番組で、市場予想を上回ったのは Cloud だけで、それも予想をわずかに上回った程度だと指摘しました。

純利益25%減とFCFの赤字、資金は株式と社債で調達

純利益が減った主な理由は、本業ではなく保有株の値下がりです。株式の評価損益は86.6億ドルの損失で、決算リリースによると、これで純利益が67億ドル、希薄化後EPSが0.55ドル押し下げられました。CNBC は、Q2 に990.3億ドルの評価益を生んだのが SpaceX と Anthropic の株式だったと伝え、TheWrap は今回の損失を上場後に値下がりした SpaceX 株によるものとしています。

もうひとつの問題は現金です。

設備投資の増加がフリーキャッシュフローを2四半期連続の赤字にした
設備投資 2025年Q4
278.5億ドル
2026年Q1
356.7億ドル
2026年Q2
449.2億ドル
2026年Q3
513.6億ドル
営業キャッシュ
フロー
2025年Q4
524.0億ドル
2026年Q1
457.9億ドル
2026年Q2
390.7億ドル
2026年Q3
422.9億ドル
フリーキャッシュ
フロー(FCF)
2025年Q4
+245.5億ドル
(黒字)
2026年Q1
+101.2億ドル
(黒字)
2026年Q2
-58.6億ドル
(赤字)
2026年Q3
-90.7億ドル
(赤字)
出典: Alphabet の決算リリース(SEC提出、2026年10月28日ほか各四半期分)。棒の長さは各項目内で4四半期中の最大絶対値を100%とした比率(項目間の比較はできません)。フリーキャッシュフローの赤字は絶対値で表示

設備投資は4四半期で約1.8倍になり(筆者計算)、フリーキャッシュフローは2四半期続けて赤字です。CNBC によれば、市場は27億ドル程度の赤字を見込んでいました。2026年通期の設備投資の見通し1,950〜2,050億ドルは据え置かれ、1〜9月の実績1,319.5億ドルを引くと、Q4 だけで約630〜730億ドルを使う計算になります(筆者計算)。アシュケナジ氏は決算説明会で次のように述べています(CNBC)。

We continue to expect our capex to increase significantly in 2027, and will provide further details on our Q4 call.

足りない現金は外部から集めています。2026年1〜9月には、普通株、強制転換型の優先株、社債などの借入で合わせて約1,472億ドル(筆者計算)を調達し、自社株買いはゼロでした。普通株のうち Q3 の約124億ドルは、市場で少しずつ売る ATM 方式によるものです。借入の返済は88.8億ドルにとどまっています。

2026年1〜9月、資金は株式と社債で調達。自社株買いはゼロに
借入(社債など)
852.2億ドル
返済88.8億ドルを除く発行額
普通株の発行
428.7億ドル
Q3のATM方式で約124億ドル
強制転換型優先株の発行
190.6億ドル
2025年1〜9月
自社株買い 398.1億ドル
→
2026年1〜9月
自社株買い 0億ドル
出典: Alphabet の決算リリース(SEC 提出、2026年10月28日)。棒の長さは借入852.2億ドルを100%とした比率

長期債務は2025年12月末の465.5億ドルから1,251.0億ドルに増え、総資産は1兆33億ドルに達しました。2025年には1〜9月だけで398.1億ドルの自社株買いをしていた会社が、株を売って AI に投資する側に回った。筆者は、今回の決算でいちばん大きな変化はこの資金の流れだと考えています。

広告主と媒体社が見るべき点

広告主がまずやることは、Google 広告の検索語句レポートで、文章のように長い検索語句からの表示回数とコンバージョンを拾い出すことです。AI Mode の質問は通常の約3倍の長さなので、その増減が手がかりになります。シンドラー氏の発言どおり、AI Mode の広告は米国外にも広がる予定です。単価がまだ低いうちに、どの商材で成果が出るかを見ておく価値があります。

媒体社は、Google Network の数字だけを見て安心しないほうがよいでしょう。Network は横ばいに戻りましたが、AI Mode で答えが完結すれば、検索から自社サイトに来る人は減りかねません。Search Console で表示回数とクリック数を毎月記録し、表示は増えてもクリックが減っていないかを追っておくことをすすめます。

動画の広告主にとって、YouTube のテレビ視聴はもう無視できない規模です。広告売上の3分の1超がテレビ画面から生まれている(TheWrap)以上、CTV の予算から YouTube を外す理由は見当たりません。

まとめ

  • 売上は25%増の1,275.8億ドル。Cloud は103%増の307.1億ドルで、TPU の販売も売上に入り始めた
  • 検索広告は12%増に鈍り、前の四半期からはほぼ横ばい。AI Mode の収益化の遅れを会社自身が認めた
  • 純利益は25%減。株式の評価損に加え、FCF は2四半期連続の赤字で、自社株買いを止めて株式と社債で資金を集めている

2027年の設備投資は「大幅に増える」と CFO が明言しており、詳細は2026年Q4の決算で示されます。次の決算では、AI Mode の広告がどこまで単価を取れるようになったか、検索の売上が前の四半期から増えたかを確かめたいところです。

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