四半期売上2006億ドル。Amazonが単一四半期で2000億ドルの大台を超えたのは、2026年7月30日に発表されたこのQ2決算が初めてです。
しかも中身が良い。AWSは前年同期比37%増と約4年半ぶりの最速成長を記録し、広告サービスも26%増と加速。時間外取引で株価は9〜10%上昇しました。前回のQ1決算記事で挙げた「Q2で検証すべきポイント」への答え合わせも含めて、数字の裏側を読み解きます。
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目次
2026年4月〜6月期の主要数値は次のとおりです。
| 指標 | Q2 2026実績 | 前年同期比 | Q1 2026実績(参考) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,006億ドル | +20% | 1,815億ドル(+17%) |
| 営業利益 | 275億ドル | +43% | 239億ドル(+30%) |
| 純利益 | 626億ドル | 前年182億ドル | 303億ドル(+77%) |
| 希薄化後EPS | 5.75ドル | 前年1.68ドル | 2.78ドル |
| AWS売上 | 422億ドル | +37% | 376億ドル(+28%) |
| 広告サービス売上 | 198億ドル | +26% | 172億ドル(+24%) |
売上・利益ともに市場予想を上回るダブルビート。Q1決算時に会社が示したQ2ガイダンスは1,940億〜1,990億ドルでしたから、実績の2,006億ドルは自社ガイダンスの上限すら超えてきたことになります。
ただし純利益626億ドルは、そのまま受け取ってはいけない数字です。ここにはAnthropicへの出資に伴う税引前534億ドルの評価益(投資先の企業価値上昇による会計上の利益)が含まれています。この点は後半で詳しく見ます。
| Q1→Q2 成長率の加速 | ||
| AWS売上 | 28%→37% | |
| 広告サービス売上 | 24%→26% | |
| 全社売上高 | +17%→+20% | |
| 出典: Amazon.com Announces Second Quarter Results(BusinessWire, 2026-07-30)/Amazon 2026年Q1決算資料。バーの長さは各指標のQ2成長率(%)に対応。 | ||
| Q2 2026 売上高2,006億ドルの内訳(推定) | |||||
| |||||
| 出典: Amazon.com Announces Second Quarter Results(BusinessWire, 2026-07-30)。AWS・広告は開示値。「その他」は売上高2,006億ドルからAWS・広告を差し引いた残差の概算で、Amazonはセグメント別の詳細内訳(North America/International等)をこの粒度では開示していません。 | |||||
Q1記事で最大の注目点とした「AWSの成長率は維持できるか」への答えは、維持どころか加速でした。
AWSのQ2売上は422億ドル、前年同期比37%増。約4年半ぶり(18四半期ぶり)の最速成長率です。事前のアナリスト予想は31%成長・売上405億ドル程度でしたから、大幅な上振れになります。営業利益は166億ドル(前年102億ドル)、営業利益率は39.4%まで上昇しました。
規模を考えると異例の数字です。年換算ランレート(直近四半期を年率換算した売上規模)は1,690億ドル。この規模で成長率が28%→37%へ上がる展開を、1年前に予想できた人は少ないでしょう。
背景にあるのはAI需要です。
Andy Jassy CEOは株主向けレターで「AWSは絶好調だ。前年同期比36.7%増は18四半期で最速の成長であり、AIとチップの事業はそれぞれ250億ドル超のランレートに達した」と述べています。バックログ4,960億ドルという数字を見る限り、この勢いは当面の需要に裏付けられたものです。
広告サービス売上は198億ドル、前年同期比26%増。Q1の24%増から伸び率が上がり、市場予想の194.3億ドルも上回りました。Google・Metaに次ぐ第3の広告事業としての存在感は、四半期を追うごとに強まっています。
Q1記事では「Prime DayがQ2に含まれる」ことを注意点として挙げました。結果を見ると、Prime Dayは売上の季節要因という以上に、Amazon DSP(広告主が配信先を横断的に買い付ける仕組み)の実力を示すイベントになっています。広告プラットフォームSkaiの分析では、2026年Q2のAmazon DSPはクリック数127%増・クリック単価35%減を記録。Prime Day(2026年6月23日〜26日)にはDSP経由の広告支出が48%増え、リテールメディア支出に占めるシェアは17.9%から25.5%へ跳ね上がりました。
クリックが増えて単価が下がる。広告主から見れば、同じ予算でより多くの購買接点を買えたことを意味します。検索・閲覧・購入・配送・Prime Video視聴までつながる購買データを持つAmazonならではの効率です。eMarketerは2026年の米国Amazon広告売上を567.1億ドルと予測しており、リテールメディア市場での独走は当面続くと見ます。
今回の決算でいちばん誤読しやすいのがここです。
純利益626億ドルのうち、税引前534億ドルはAnthropicへの出資に伴う評価益。Q1決算の168億ドルに続き、2四半期連続で投資評価益が純利益を大きく押し上げました。本業の稼ぐ力を見るなら、営業利益275億ドル(+43%)を基準にすべきです。それでも十分に強い数字ですが、純利益3.4倍という見出しだけで判断すると実態を見誤ります。
| 純利益626億ドルに占めるAnthropic評価益の規模感 | ||
| ||
| 出典: Amazon Q2 Ad Revenue Up 26% as Tech Giant’s Profit Booms to $62.6 Billion on Anthropic Investments(Variety, 2026-07-30)。※Anthropic評価益534億ドルは税引前、純利益626億ドルは税引後の数値であり厳密な会計ベースは異なります。ここでは純利益に占める評価益の規模感を示す概算として表示しています。本業の実力は営業利益275億ドルで判断すべきです。 |
AmazonとAnthropicの関係は、出資と取引の両面で深まっています。
出資先の企業価値が上がれば評価益が立ち、出資先はAWSの大口顧客として売上に貢献する。AI時代の垂直統合とも言える構図で、AWSの37%成長とAnthropic評価益は同じ物語の表と裏です。
2026年通年の設備投資(capex)ガイダンスは、従来の2,000億ドルから2,200億ドルへ引き上げられました。直近12ヶ月ベースで前年比64%増。メモリチップ価格の上昇と、想定を超えるAI需要が理由です。Jassy CEOは「2026年も2027年も、需要を満たすだけの容量が足りない見込み」と述べています。
ビッグテック4社(Amazon・Microsoft・Google・Meta)の2026年設備投資は、合計で最大7,250億ドルに達する見通しです。Microsoftだけで約1,900億ドル、Metaも1,300億〜1,450億ドルを計画しています。
| ビッグテック capex比較(2026年通期見通し) | ||
| Amazon | 2,200億ドル | |
| Microsoft | 約1,900億ドル | |
| Meta | 1,300億〜1,450億ドル | |
| 出典: Amazon Q2 2026決算資料/Big Tech capex swells to $725B(StockTwits, 2026年決算週報道)。バーの長さはAmazonの2,200億ドルを100%とした相対比較。4社(Amazon・Microsoft・Google・Meta)合計は最大7,250億ドル(Googleの個社別数値は参照ソースに未掲載)。 | ||
注目すべきは市場の反応の分かれ方です。同じ週に決算を発表したMetaは、売上28%増と高成長を見せながら純利益が14%減少し、株価は時間外で7%超下落しました。Amazonの9〜10%上昇とは対照的です。Metaの決算詳細は「Meta 2026年Q2決算|売上28%成長の裏でFCF急減、AI投資はどこまで続くのか」で解説しています。
巨額投資そのものはもう嫌気されていません。市場が見ているのは、投資が収益にどう変換されるかです。AmazonはAWSの加速とバックログという明確な回収の証拠を示せた。Metaは特別費用の計上もあって利益面の証明がまだ弱い。この差が株価の差になりました。Q1記事で「AI投資の回収が今後の焦点」と書きましたが、Q2はその回収を数字で証明した四半期だったと言えます。
Q1決算記事で挙げた検証ポイントを、Q2の実績で確認します。
| Q1記事の注目点 | Q2の結果 |
|---|---|
| AWS成長率は継続するか | 28%→37%へ加速 |
| 広告の伸びは続くか | 24%→26%へ加速 |
| Prime Dayの貢献度 | DSP支出48%増・シェア25.5%へ拡大 |
| capexはどこまで続くか | 通年2,000億→2,200億ドルへ増額 |
| AI投資は売上に変換されるか | バックログ4,960億ドル、AI・チップ各ランレート250億ドル超 |
ほぼ全項目がポジティブ方向に振れました。残る宿題はフリーキャッシュフローです。Q1時点で直近12ヶ月のフリーキャッシュフローは12億ドルまで縮小していました。capexが2,200億ドルに増える以上、短期的な回復は見込みにくく、ここは引き続きQ3以降の確認事項になります。
この決算から実務者が読み取るべき点は3つあります。
Q3ガイダンスは売上1,970億〜2,020億ドル(前年同期比9%〜12%増)。伸び率はやや落ち着く想定ですが、AWSのバックログと広告の勢いを踏まえれば、次の焦点はフリーキャッシュフローの回復時期に移ります。Q3決算でも答え合わせを続けます。
本記事は以下のソースを参考に作成しました。